株式会社の定款認証の流れ|公証役場に案を送ってから謄本を受け取るまで
株式会社の定款を公証役場で認証してもらう流れです。会社設立の登記はこの認証が済んでからなので、日程の組み方まで含めて見ていきます。
株式会社の定款ができて、公証役場で認証を受ける段階に来た人に向けた記事です。公証役場に行ったことがなく、何をどうすればいいのかが分からない人が対象です。合同会社なら認証は不要なので、この工程はありません。
株式会社の定款は、公証人の認証を受けないと効力が生じません。会社設立の登記に添えるのも認証を受けた定款です。ところが公証役場に行ったことがある人は少なく、当日の流れが分かりません。案を送るところから謄本を受け取るまでを順に見ていきます。
なぜ株式会社だけ認証が要るのか

株式会社の定款は、公証人の認証を受けないと効力が生じません。会社法がそう定めています。会社設立の登記に添えるのも、認証を受けた定款です。
認証というのは、その定款が正当な手続きで作られたことを公証人が証明することです。第三者が確かめるという建てつけになっています。
なぜ株式会社だけかというと、株式会社は出資者と経営者が分かれることを前提にした仕組みだからです。あとから株主になる人が、定款の内容を信用できるようにしておく必要があります。
合同会社は、出資した人がそのまま業務を執行します。だから第三者が確かめる必要が薄いと考えられていて、認証の手続きがありません。
会社設立の工程としては、この認証が一つ増えることになります。日数も費用もかかるので、株式会社のほうが重くなります。
ただし、悪いことばかりではありません。認証の前に公証人が定款を見てくれるので、内容の間違いに気づいてもらえます。
会社設立の登記に進む前に、専門家に定款を見てもらえる機会だと考えると、値打ちが変わってきます。
合同会社にはこの機会がありません。だから、ひな形選びと自己点検がより大事になります。
認証を受けるのは原始定款——会社設立のときに最初に作る定款だけです。設立後に定款を変えるときには認証は要りません。
認証を受けていない定款を会社設立の登記に添えると、当然ながら受け付けてもらえません。合同会社と混同して認証を飛ばしてしまう人がまれにいますが、株式会社では必ず必要な工程です。
一般社団法人や一般財団法人の定款も認証が要ります。会社設立の話からは外れますが、同じ仕組みです。
出典(一次情報)日本公証人連合会「9-4 定款認証」2026年9月15日確認
どの公証役場に行くか

定款の認証を受ける公証役場は、本店の所在地と同じ都道府県にあるところに限られます。全国どこでもいいわけではありません。
都道府県が同じなら、その中のどの公証役場でも構いません。都市部なら複数あるので、空いているところや行きやすいところを選べます。
公証役場の一覧は、日本公証人連合会のサイトにあります。都道府県ごとに、所在地と電話番号、受付時間が載っています。
法務局のサイトにも、その地域の公証役場の一覧が置かれていることがあります。会社設立の準備では、どちらから探しても構いません。
選ぶときは、行きやすさだけでなく予約の取りやすさも考えてください。混んでいる役場だと、1週間以上待つことがあります。
会社設立を急いでいるなら、同じ都道府県内の複数の役場に当たってみてください。一か所で粘るより早く済むことがあります。
電子定款に対応しているかも確かめておいてください。ほとんどの役場が対応していますが、データの渡し方が役場によって違います。
受付時間は平日の日中です。昼休みを挟むところが多いので、行く時間も確かめてください。
土日祝日と年末年始は閉まっています。会社設立の日程を組むときは、この点も見込んでください。
本店を県境の近くに置く場合は、とくに確かめてください。隣の県の公証役場のほうが近くても、本店と同じ都道府県でなければ認証を受けられません。会社設立の準備で見落とされやすいところです。
本店をどこに置くかを決めると、行き先の公証役場も決まります。会社設立の準備の早い段階で調べておくと、日程が立てやすくなります。
出典(一次情報)日本公証人連合会「公証役場一覧」2026年9月15日確認
まず定款の案を送る

公証役場に定款を持って行けば、その場で認証してもらえる。そう思っていると出直しになります。多くの役場が、事前に案を送るよう求めています。
送り方は、メールかファクスが一般的です。役場によって指定があるので、まず電話して聞いてください。
送るのは、定款の案です。まだ署名押印していないもので構いません。内容を見てもらうのが目的だからです。
公証人が目を通して、直すところがあれば連絡が来ます。絶対的記載事項の欠落、条文どうしの矛盾、表現の不明確さ。こうした点を見てもらえます。
会社設立の工程の中で、定款を専門家に見てもらえる貴重な機会です。ここでの指摘を受けて直しておけば、登記でつまずく可能性が下がります。
やり取りは何度か繰り返されることもあります。直して送り直して、また見てもらう。メールでできれば、日数はそれほどかかりません。
内容が固まったら、認証を受ける日を決めます。この段階で予約を取ることになります。
会社設立の日を狙っているなら、この時点で伝えておいてください。その日までに認証を終えたい旨を言えば、調整してもらえることがあります。
実質的支配者についての申告書も、この段階で案内されます。マネーロンダリング対策のために求められるもので、様式は公証役場からもらえます。
案を送る段階では、まだ印鑑証明書を取っていなくても構いません。内容の確認が目的だからです。会社設立の準備としては、定款の案を送りながら並行して印鑑証明書を取りに行く、という進め方が効率的です。
案を送ってから認証を受けるまで、早くて数日、混んでいると1週間以上かかります。会社設立の日程には余裕を見ておいてください。
出典(解説)EXPACT「定款認証の手続きを個人で行う際に必要な準備とは?」2026年9月15日確認
当日に持って行くもの

認証を受ける日に持って行くものをまとめておきます。忘れると出直しになるので、前日に確かめてください。

紙の定款なら3通持って行くのが一般的です。1通は公証役場に保存され、1通は会社設立の登記に使い、1通は会社に残ります。
収入印紙4万円は、公証役場に持って行く前に貼っておきます。貼ったら消印を押します。登録免許税の印紙とは扱いが逆なので気をつけてください。
発起人全員の印鑑証明書が要ります。作成後3か月以内のものです。会社設立の登記でも使うので、まとめて取っておくと効率的です。
実質的支配者についての申告書は、公証役場からもらった様式に記入します。会社を実際に支配している人が誰かを申告するものです。
手数料は現金で払います。カードは使えないことが多いので、確かめておいてください。
代理人が行く場合は、委任状が要ります。発起人の実印を押し、印鑑証明書を添えます。会社設立の準備で本人が行けないときに使います。
出典(解説)弥生「定款認証の必要書類は?」2026年9月15日確認
手数料はいくらか

定款認証の手数料は、公証人手数料令という政令で定められています。資本金の額によって三段階です。
資本金100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。会社設立の資本金を決めるときに効いてくる数字です。
令和6年12月1日からは、条件を満たすと1万5,000円になる仕組みも設けられました。三つの条件を全部満たす必要があります。
一つめが、発起人の全員が自然人であり、かつ3人以下であること。法人が発起人に入っていると使えません。
二つめが、定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載または記録があること。
三つめが、定款に取締役会を置く旨の記載または記録がないこと。取締役会を置く会社は対象外です。
この三つを全部満たし、かつ資本金が100万円未満なら1万5,000円になります。一人で小さく会社設立をする人には、当てはまることが多いはずです。
手数料のほかに、定款の謄本代がかかります。1ページあたりの単価で計算されるので、条文の多い定款ほど高くなります。2,000円前後を見ておけば足りることが多くあります。
手数料には消費税がかかりません。公証人の手数料は政令で定められていて、現金で払う扱いになっています。
会社設立の費用を見積もるときは、認証手数料と謄本代を分けて数えてください。合わせて3万円台から5万円台になります。
出典(一次情報)日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」2026年9月15日確認
資本金100万円未満3万円、100万円以上300万円未満4万円、それ以外5万円。令和6年12月1日からは条件つきで1万5,000円。
当日の流れ

認証の当日は、思ったより早く終わります。事前に内容が固まっているので、確認と手続きだけだからです。
受付で用件を伝えます。定款認証で予約している旨と、会社の商号を言えば案内してもらえます。
公証人と面談します。本人確認をして、定款の内容を確かめます。事前に案を見てもらっているので、ここで大きな指摘が出ることはあまりありません。
実質的支配者についての申告書を確かめられます。誰が会社を実際に支配しているかを説明することになります。
定款に署名または押印します。すでに押してきている場合は、それで足りることもあります。
公証人が認証の文言を付けて、署名押印します。これで定款に効力が生じます。
手数料を払います。現金で、認証手数料と謄本代を合わせた額です。領収証をもらってください。会社設立の費用として記録に残ります。
定款の謄本を受け取ります。紙の定款なら、認証を受けた謄本が渡されます。会社設立の登記に添えるのはこれです。
電子定款の場合は、同一の情報の提供という形で書面や記録媒体を受け取ります。役場によって渡し方が違うので、事前に確かめてください。
全体で30分から1時間ほどです。会社設立の工程の中では、短いほうに入ります。
拍子抜けするくらいあっさり終わる、という感想を持つ人が多くあります。事前に案を送って内容を固めているからで、そこを飛ばすと当日に時間がかかります。
出典(一次情報)日本公証人連合会「定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか」2026年9月15日確認
電子定款で認証を受ける場合

電子定款にすると、紙の定款に貼る収入印紙4万円がかかりません。会社設立の費用を抑えるうえでいちばん効き目が大きいところです。
ただし、電子定款でも公証役場での認証は必要です。オンラインで完結するわけではありません。ここは誤解されやすいところです。
流れは紙の場合と似ています。定款の案を送って見てもらい、内容が固まったら予約を取って出向きます。
違うのは、定款のデータをどう渡すかです。オンラインで送る、記録媒体を持って行く。役場によって案内が違うので、必ず確かめてください。
電子署名を付けたPDFを用意します。発起人が電子証明書で署名したものです。署名がないと認証を受けられません。
発起人が複数いる場合、全員が電子署名を付ける必要があります。一人でも電子証明書を持っていなければ、その人の分は別の扱いになります。
実務では、発起人が委任状を作って代理人に電子署名を任せる形も取られます。行政書士や司法書士に電子定款の作成を頼むのがこの形です。
認証を受けたあと、同一の情報の提供を受けます。会社設立の登記に添えるのはこれです。書面でもらうか記録媒体でもらうかは役場によります。
手数料は紙の場合と同じです。資本金の額で決まる認証手数料に、同一の情報の提供の手数料が加わります。
浮くのは印紙税の4万円だけです。登録免許税が安くなるわけではないので、そこは取り違えないでください。
出典(解説)弥生「電子定款とは?」2026年9月15日確認
認証のあと、登記までの段取り

定款の認証が終わったら、会社設立の登記に向けて次の工程に進みます。
まず資本金の払い込みです。定款を作ったあとに、発起人の個人口座に振り込みます。認証の日より前でも、定款の作成日より後なら構いません。
実務では、認証を受けてから払い込むという順番にしておくのが分かりやすくなります。日付の前後関係で迷わずに済みます。
払込証明書を作ります。代表取締役が作る証明書に、通帳のコピーを綴じて契印を押します。
就任承諾書を作ります。設立時取締役になる人が、就任を承諾した旨を書いて個人の実印を押します。
設立時取締役の印鑑証明書を用意します。定款認証で使ったものとは別に、もう1通要ります。
申請書を書きます。定款から商号、本店、目的、発行可能株式総数、資本金の額を写します。
収入印紙を買って台紙に貼ります。登録免許税の分で、消印は押しません。定款に貼った印紙とは扱いが逆です。
綴じて契印を押し、本店を管轄する法務局に出します。受け付けられた日が会社の設立日です。
認証を受けた定款に期限はありません。だから認証から登記まで多少時間が空いても構いませんが、印鑑証明書の期限には気をつけてください。
出典(解説)freee「払込証明書は会社設立登記の申請に必要!」2026年9月15日確認
まとめ

株式会社の定款は、公証人の認証を受けないと効力が生じません。会社設立の登記に進む前の関門ですが、流れが分かれば難しくありません。
- 行き先は、本店の所在地と同じ都道府県にある公証役場。どこでもいいわけではない。
- いきなり行っても認証してもらえない。まず定款の案をメールかファクスで送る。
- 内容が固まったら予約を取る。混んでいると1週間以上待つことがある。
- 当日は、定款、発起人全員の印鑑証明書、実質的支配者の申告書、手数料、実印を持って行く。
- 手数料は資本金の額で3万円から5万円。条件を満たせば1万5,000円。
- 電子定款でも公証役場には行く。オンラインでは完結しない。
- 認証が終わったら、資本金を払い込んで会社設立の登記へ進む。
ここに挙げた手数料は2026年9月15日時点で、日本公証人連合会のページにあたって確かめたものです。令和6年12月に見直されたばかりなので、古い記事の金額とは違うことがあります。会社設立の準備を進める前に、実際に使う公証役場に確かめてください。
出典(一次情報)日本公証人連合会「9-4 定款認証」2026年9月15日確認
まず電話して、案の送り方を聞いてください
公証役場でつまずくのは、いきなり行ってしまうことです。多くの役場が事前に定款の案を送るよう求めているので、まず電話して聞いてください。それだけで出直しを防げます。
持ち物や予約のしかたをもっと詳しく知りたいなら、公証役場の予約と持ち物を扱った記事に進んでください。電子定款にするなら、その作り方を扱った記事もあります。
登記のあとに待っている、税務・社会保険まで任せられる所
会社設立の登記が終わっても、税務署への届出や社会保険の手続きは残ります。定款の内容によって決算期も変わるので、登記と合わせて相談先を決めておくと迷いません。※弊社調べになります。
この記事は、会社設立の登記と定款の疑問を解くのに役に立ちましたか。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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