商号の調べ方|同一商号・類似商号・商標を確かめる手順
会社設立の前に商号を調べる手順です。法人番号公表サイト、登記情報提供サービス、商標検索を使って、半日で確かめられます。
会社設立の商号が決まってきて、この名前を使っていいのかを確かめたい人に向けた記事です。どこで何を調べればいいのかを、順番にまとめました。
商号が決まったら、そのまま定款に書く前に調べることがあります。同じ名前の会社がないか、商標にぶつからないか。全部やっても半日で終わります。
何を調べるのか

商号を調べるといっても、調べることは一つではありません。大きく三つあります。
一つめが、会社設立の登記そのものが通るかどうかです。同じ住所に同じ商号の会社があると登記できません。
二つめが、商標です。他人が登録している商標とぶつかると、あとから使用を止められることがあります。
三つめが、紛らわしさです。登記も商標も問題なくても、よく知られた会社と紛らわしい名前は避けたほうが無難です。
この三つは、それぞれ別の制度です。だから調べる場所も別になります。
法務局は商標を確かめませんし、特許庁は登記を確かめません。自分で両方を見ることになります。
会社設立の登記が通ったからといって、その名前を安心して使えるとは限らない。ここが落とし穴です。
調べるのは、定款を作る前がよいでしょう。定款に書いてから問題が見つかると、作り直しになります。
電子定款で作っている場合も同じです。署名をやり直すことになりますし、認証の手数料も戻りません。
株式会社なら、定款認証を受けたあとに気づくと、認証の手数料も無駄になります。
調べる手段は、どれも無料か数百円で使えます。会社設立の費用としては、ほとんど負担になりません。
かかるのは時間だけです。それも、まとめてやれば半日ほどで終わります。
この記事では、その手順を順に見ていきます。
無料でできるものから順に使っていくと、費用をかけずにかなりのところまで確かめられます。有料のものは、必要になったときだけで足ります。
出典(解説)中嶋国際法務事務所「会社設立の際の同一・類似商号調査の必要性と方法」2026年9月15日確認
同一商号・同一本店を確かめる

まず確かめるのは、同一商号・同一本店です。ここだけは、引っかかると会社設立の登記が却下されます。
本店の所在場所が同じで商号も同じ会社は、重ねて登記できません。商業登記法で決まっています。
逆にいえば、本店が違えば同じ商号でも登記できます。平成18年に類似商号の規制がなくなったからです。
以前は、同じ市区町村内で似た名前の会社があると登記できませんでした。いまはその規制がありません。
だから、確かめる範囲はかなり狭くなります。自分が本店にする住所だけを見れば足ります。
一戸建てや自分だけの事務所なら、まず問題になりません。同じ住所に他の会社がないからです。
問題になるのは、レンタルオフィスやバーチャルオフィスを本店にする場合です。
同じ住所にたくさんの会社が登記されているので、商号がぶつかる可能性が出てきます。
この場合は、その住所で登記されている会社の一覧を確かめる必要があります。
運営している事業者に聞けば、教えてもらえることがあります。先に聞いてみてください。
契約の前に聞いておくと、そこを本店にするかどうかの判断材料にもなります。会社設立の準備の早い段階で確かめてください。
部屋番号まで登記すれば、所在場所が違うという扱いになります。そこで回避できることもあります。
会社設立の定款を作る前に、ここは確かめておいてください。却下されると定款から作り直しになります。
却下されても登録免許税は戻ります。ただ、印紙を買い直したり定款認証をやり直したりで、実際には費用も日数も失われます。
出典(一次情報)法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」2026-09-15確認
法人番号公表サイトで調べる

同じ名前の会社があるかどうかを調べるのに、いちばん手軽なのが国税庁の法人番号公表サイトです。
法人番号が指定された会社の基本三情報が公開されています。商号、本店の所在地、法人番号です。
無料で使えます。登録も要りません。ブラウザで開いて検索するだけです。
商号で検索すれば、同じ名前や似た名前の会社が全国から出てきます。所在地でも絞り込めます。
自分が考えている名前を入れて、どれくらい同じ名前の会社があるかを見てみてください。
ありふれた名前だと、何十件も出てくることがあります。それ自体は問題ではありません。
見るのは、自分が本店にする住所と同じところに同じ名前の会社がないか、です。
所在地での絞り込みを使えば、そこは確かめられます。会社設立の前にやっておいてください。
ただし、このサイトに載るのは法人番号が指定された法人です。登記の直後は反映が遅れることがあります。
だから、これだけで完全に確かめたことにはなりません。確実を期すなら、次に述べる方法も併せてください。
それでも、最初の絞り込みとしては十分に使えます。無料で、全国を一度に見られるからです。
同じ名前の会社が同業で近くにあると分かったら、そこで名前を考え直すという判断もできます。
業種までは分からないので、気になる会社が出てきたらその名前で検索してみてください。何をしている会社かは、たいていサイトで分かります。
出典(一次情報)国税庁「国税庁法人番号公表サイト」2026-09-15確認
登記情報提供サービスで調べる

もっと確実に調べるなら、登記情報提供サービスを使います。登記簿の内容をそのまま画面で見られます。
商業・法人の全部事項で1件330円です。一時利用という仕組みがあって、クレジットカードでその場で使えます。
継続の契約をしなくても使えるので、会社設立の前に数件調べるだけなら一時利用で足ります。
会社を探すには、商号と本店が必要です。法人番号公表サイトで見つけた会社を、ここで確かめるという使い方になります。
登記簿を見れば、商号、本店、目的、役員、資本金まで分かります。
同業の会社を調べるなら、事業目的の書き方も参考になります。定款を作るときに役に立ちます。
会社設立の商号を決める段階では、同じ住所の会社を確かめるのが主な目的です。
ただし、このサービスは会社を特定して見るものです。住所から会社を一覧で出す機能はありません。
だから、同じ住所の会社を漏れなく調べたいなら、法務局で確かめるほうが確実です。
1件330円なので、数件調べても千円程度です。会社設立の費用としては小さな額です。
印刷もできるので、あとで見返せるように保存しておくとよいでしょう。
なお、これは登記事項証明書とは違います。証明の効力はないので、官公庁に出す書類には使えません。
調べるためのものと、証明するためのもの。この二つは別だと覚えておいてください。会社設立の登記のあとに証明書が要る場面では、法務局で取ることになります。
出典(一次情報)民事法務協会 登記情報提供サービス「一時利用」2026年9月15日確認
法務局で確かめる

もっとも確実なのは、法務局で確かめる方法です。本店を管轄する法務局に行きます。
多くの法務局に、商号を調べるための端末が置かれています。備え付けの端末で検索できることがあります。
ただし、運用は法務局によって違います。端末がないところもありますし、扱いが変わっていることもあります。
行く前に、管轄の法務局に電話で確かめてください。会社設立の準備では、この一本の電話が効きます。
法務局の登記手続案内でも、相談のなかで確かめられることがあります。予約制で無料です。
登記手続案内は、会社設立の登記の手続きについて聞ける窓口です。商号の決まりについても聞けます。
1回20分以内という運用をしているところが多いので、聞きたいことを絞って持っていってください。
レンタルオフィスを本店にする場合は、ここで確かめておくと安心です。同じ住所の会社を漏れなく見られます。
調べた結果、同じ商号の会社があると分かったら、商号を変えるか部屋番号まで登記するかを考えます。
どちらにしても、定款を作る前に分かれば直せます。会社設立の登記を出してからでは遅いということです。
なお、登記官は事前に「この商号で登記できます」と保証してくれるわけではありません。
確かめられるのは、いまの時点で同じ商号の会社があるかどうかまでです。そこは理解しておいてください。
調べた翌日に別の会社が同じ住所で登記することも、理屈のうえではありえます。だから、会社設立の登記を出す直前にもう一度見ておくと安心です。
出典(解説)佐伯事務所「会社設立時の商号調査について」2026年9月15日確認
商標を調べる

登記の面が済んだら、次は商標です。ここは法務局とはまったく別の制度になります。
他人が登録している商標と同じ名前を使うと、使用の差止めや損害賠償を求められることがあります。
会社設立の登記が通っても、商標の面では何の保証にもなりません。法務局は商標を確かめないからです。
商標が登録されているかどうかは、特許情報プラットフォームで調べられます。無料で使えます。
自分が考えている名前を入れて検索します。カタカナ、ひらがな、ローマ字と、表記を変えて何度か試してください。
商標には区分があります。同じ名前でも、まったく違う分野で登録されているだけなら問題にならないことがあります。
区分は商品やサービスの種類で分かれています。飲食と機械では扱いが違う、というような分け方です。検索するときは、そこも見てください。
自分の事業と同じ分野で登録されているかどうかを見てください。そこがぶつかると問題になります。
判断が難しければ、弁理士に相談することになります。商標を専門に扱う資格です。
会社設立の段階では、まず自分で検索して、明らかにぶつかるものがないかを見ておけば足ります。
よく知られた会社の名前に似せた商号は、不正競争防止法の面でも問題になります。
会社法にも、不正の目的で他の会社と誤認させる商号の使用を禁じる条文があります。
こうした争いになると、商号を変えることになります。定款変更、変更登記、印鑑の作り直しと続きます。
そこまでいくと、費用も手間も大きなものになります。会社設立の前に30分かけて検索しておくだけで、避けられる話です。
出典(一次情報)工業所有権情報・研修館「特許情報プラットフォーム J-PlatPat」2026-09-15確認
ドメインとSNSも見ておく

法律の話ではありませんが、実務として見ておくとよいものがあります。
ドメイン名です。会社の名前でサイトを作るなら、そのドメインが取れるかを確かめておいてください。
希望のドメインが取られていると、別の綴りや別のドメインを使うことになります。
会社の名前とサイトの住所がそろっていると、覚えてもらいやすくなります。そこまで含めて名前を決める会社も多くあります。
これは会社設立の登記には関係ありませんが、あとから変えにくいものです。先に見ておく価値があります。
各種のサービスで、その名前のアカウントが取れるかも見ておくとよいでしょう。
すでに同じ名前で有名なアカウントがあると、紛らわしくなります。事業の分野が違えば問題は小さくなります。
インターネットでその名前を検索してみるのも有効です。同じ名前の会社や店が出てきます。
同業で、しかも近くにあると分かったら、そこで考え直すという判断もできます。
会社設立の登記としては通っても、営業の場面で混同されると面倒なことになります。
電話を間違えて受けたり、問い合わせが混ざったり。実際に起きることです。
取引先が相手の会社と取り違えることもあります。そうなると、信用の面で損をするのは自分のほうです。
ここまでやれば、あとから商号を変えることになる可能性はかなり下がります。
定款に書く前に、ひととおり確かめておいてください。
ここまでやっても、かかるのは半日ほどです。会社設立の準備全体から見れば、わずかな時間で済みます。
出典(解説)MONEYIZM「会社名の付け方・ルール、アイデアの事例を解説」2026年9月15日確認
調べる順番

ここまでの内容を、実際にやる順番に並べておきます。

この順番でやると、無料のものから順に使えます。費用がかかるのは登記情報提供サービスだけです。
それも1件330円なので、数件調べても千円程度に収まります。
調べた結果、問題が見つかったら名前を考え直します。定款を作る前なら、いくらでも直せます。
問題がなければ、そのまま定款に書いて会社設立の準備を進めてください。
調べた記録を残しておくと、あとで役に立つことがあります。検索した日付と結果を控えておいてください。
万が一あとで争いになったときに、調べたうえで決めたという事実が意味を持つことがあります。
会社設立の登記を出す直前に、もう一度だけ同じ住所を確かめておくと万全です。
調べてから登記までに日が空くと、そのあいだに別の会社が登記されている可能性があるからです。
とくにレンタルオフィスを本店にする場合は、この確認を省かないでください。同じ住所に会社が増えていくところだからです。
出典(解説)リーパル会計事務所「会社名の決め方とルール」2026年9月15日確認
まとめ

商号を調べるのは、三つの面からです。登記が通るか、商標にぶつからないか、紛らわしくないか。
- 登記の面では、同じ住所に同じ商号の会社があるかどうかだけを見ればよい。類似商号の規制は廃止されている。
- 国税庁の法人番号公表サイトなら、商号と所在地を無料で検索できる。
- 登記情報提供サービスなら登記簿の内容を画面で見られる。商業・法人の全部事項で1件330円。
- レンタルオフィスを本店にするなら、管轄の法務局で確かめるのが確実。運用は法務局によって違う。
- 商標は特許庁の制度で、登記とは別。特許情報プラットフォームで無料で検索できる。
- ドメインやインターネットでの検索も、実務としては見ておく価値がある。
- 調べるのは定款を作る前。株式会社は定款認証のあとだと手数料も無駄になる。
ここに書いた手数料と制度は2026年9月15日時点のものです。法務局での確認の方法は法務局によって運用が異なりますし、商標の判断は専門的なものです。会社設立の登記の前に、法務局の登記手続案内と、必要に応じて弁理士に確かめてください。
出典(解説)東京 会社設立パートナーズ「会社名、商号に使える文字」2026年9月15日確認
無料のものだけでも、まず調べてみてください
法人番号公表サイトと商標の検索は、どちらも無料です。それだけでも、明らかにぶつかる名前は見つかります。会社設立の定款を作る前に、30分だけ使ってみてください。
商号に使える文字と符号の決まりについては、それを扱った記事があります。名前を考える前に読んでおくと、手戻りがありません。
登記のあとに待っている、税務・社会保険まで任せられる所
会社設立の登記が終わっても、税務署への届出や社会保険の手続きは残ります。定款の内容によって決算期も変わるので、登記と合わせて相談先を決めておくと迷いません。※弊社調べになります。
この記事は、会社設立の登記と定款の疑問を解くのに役に立ちましたか。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 登記 定款」を足して検索したときに出てきたサイトです。掲載順は優劣を表すものではありません。リンク先の内容は各サイトの管理者に帰属します。
- 登記情報提供サービス登記された内容を画面で確認できる有料サービス。証明書としては使えない。
- 国税庁法人番号公表サイト商号と本店から会社を無料で検索できる。同じ住所に同じ名前の会社がないかを見る最初の一手。
- 弥生|会社設立後にやることは?必要な手続きと提出書類一覧登記が終わったあとの届出を提出先ごとに整理している。
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