会社設立の登記費用|実費の金額と手数料の内訳、資本金との関係、司法書士に頼んだときの相場
会社設立の登記にかかる費用を、登録免許税・定款認証の手数料・定款の印紙代・証明書の手数料という実費と、司法書士に頼んだときの報酬に分けて整理します。株式会社と合同会社の金額、資本金で変わる部分、電子定款との差も見ます。
会社設立の登記にいくら用意すればよいのかを、記事ごとに違う数字に振り回されずに確かめたい人に向けて書きました。株式会社か合同会社かを費用で比べたい人、資本金をいくらにすると何が変わるのかを知りたい人、司法書士の見積もりが妥当かどうかを読み解きたい人にも向いています。事業全体の開業資金ではなく、登記を通すまでにかかるお金に絞っています。
会社設立の登記費用は、記事によって「6万円」とも「24万円」とも「30万円以上」とも書かれています。どれも間違いではなく、何を含めているかが違うだけです。必ずかかる税金、株式会社だけの手数料、やり方で省ける印紙代、頼んだときの報酬。この四つを分けて数えると、自分の会社設立にかかる金額は一つに定まります。ここでは登記を通すまでの費用だけを、項目ごとに分けて並べます。
会社設立の登記費用は、実費と報酬に分けて考える

会社設立の登記にかかる費用は、大きく二つに分かれます。一つは実費で、国に納める税金や、公証人・法務局に払う手数料です。もう一つは、司法書士などに手続きを頼んだときの報酬です。
実費はさらに二つに分けられます。どうやっても省けないものと、やり方次第で省けるものです。省けないのは登記の登録免許税と、株式会社なら定款認証の手数料。省けるのは紙の定款に貼る4万円の収入印紙で、電子定款にすればかかりません。
資本金は費用ではありません。会社に入れる元手で、会社設立のあとも会社のお金として残ります。ただし手元から出ていく金額であることは確かなので、準備するお金としては別に数えておきます。
この層の分け方で、一円単位まで実費を積み上げたのが次の記事です。
くわしくはこちらの記事会社設立の登記費用の内訳|実費だけを一円ずつ積み上げる会社設立でかかるお金を、登記にかかる実費と定款にかかる実費に分けて内訳にします。何が必ずかかり、何が省けるのかを一次情報の金額で並べます。出典(解説)弥生「会社設立費用はいくら?株式会社・合同会社の法人設立費用を比較解説」2026年9月15日確認
株式会社と合同会社の設立費用を、法定費用と専門家への報酬などに分けて比較しています。
会社設立の登記費用の金額|株式会社と合同会社で積み上げる

具体的な前提を置いて、会社設立の登記までの実費を積み上げてみます。資本金200万円、取締役一人で取締役会は置かない、電子定款を使う、軽減措置は使わない、自分で手続きをする。この条件です。

同じ条件で合同会社にすると、定款認証の手数料と謄本代がなくなり、登録免許税は最低額の6万円です。証明書の手数料を足しても6万円台で収まります。会社設立の登記費用で株式会社と合同会社の差が13万円ほど開くのは、登録免許税の最低額の差9万円と、定款認証の手数料4万円が重なるためです。
合同会社の内訳を書き出すと、登録免許税6万円、登記事項証明書4通で2,400円、会社の印鑑証明書2通で1,000円です。定款認証がないので公証役場に払うお金はなく、代表社員の個人の印鑑証明書も登記に出す1通で足りることが多くあります。会社設立の登記費用を最小にしたいなら、合同会社を電子定款で自分で作る形がいちばん軽くなります。
この金額に、紙の定款なら4万円が乗ります。よく見かける「株式会社は24万円」という数字は、登録免許税15万円、定款認証の手数料5万円、紙の定款の印紙4万円を足したものです。前提をそろえて比べれば、記事ごとの金額の違いはほとんど説明がつきます。
出典(一次情報)日本公証人連合会「定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか」2026年9月15日確認
定款認証の手数料、謄本の手数料(1枚250円、8枚程度で2,000円くらい)、収入印紙4万円(電子定款は不要)、登録免許税(15万円か資本金の1,000分の7の高いほう)が示されています。
登記の手数料|定款認証の手数料と謄本代

会社設立の登記の前に、株式会社は公証役場で定款の認証を受けます。その手数料は公証人手数料令で決まっていて、資本金の額で区分されています。登記の申請そのものには手数料はかからず、法務局に納めるのは登録免許税です。「登記の手数料」として語られるものの多くは、実はこの定款認証の手数料を指しています。

1万5,000円になる条件は三つです。発起人の全員が自然人でその数が3人以下であること、定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること、定款に取締役会を置く旨の記載がないこと。一人で小さく会社設立をする場合は当てはまることが多いので、資本金を100万円未満にする予定なら確かめておく価値があります。
公証役場では、定款のほかに実質的支配者となるべき者の申告書も出します。これ自体に別の手数料はかかりませんが、定款の案を事前に送って確認を受け、予約した日に出向くという段取りが要ります。会社設立の登記の日程を組むときは、この認証の日を先に押さえておくと、資本金の払込や登記の申請の日取りが決めやすくなります。
認証を受けた定款の謄本は、会社設立の登記に添える分と手元に残す分を受け取ります。1枚250円なので、8枚ほどの定款なら2,000円前後です。手数料は公証役場で現金などで払います。
出典(一次情報)日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」2026年9月15日確認
令和6年12月1日から、資本金100万円未満で一定の条件を満たす株式会社の定款認証の手数料が1万5,000円とされています。
登記の値段をいちばん左右するのは登録免許税

会社設立の登記の値段を決めている最大の要素は、登録免許税です。株式会社なら資本金の0.7%と15万円の高いほう、合同会社なら0.7%と6万円の高いほう。資本金が株式会社でおよそ2,143万円、合同会社でおよそ857万円を超えるまでは、最低額がそのまま税額になります。
この税金は、手続きを誰がしても変わりません。司法書士に頼んでも、自分で申請しても、紙でもオンラインでも同じです。会社設立の登記費用を比べるときに、ここだけは前提をそろえる必要がありません。
金額を下げられるのは、市区町村の特定創業支援等事業の証明書を使う場合だけです。税率が0.35%になり、最低額が株式会社7万5,000円、合同会社3万円になります。証明書は登記の申請のときに添えなければならず、あとから取っても差額は戻りません。
登録免許税は、紙で申請するなら収入印紙を台紙に貼って納め、オンラインで申請するなら電子納付が使えます。どちらで納めても金額は同じなので、会社設立の登記費用を比べるときに納め方の違いを気にする必要はありません。違いが出るのは、印紙を買いに行く手間と、納付の期限の管理です。
登記費用の見積もりで迷ったら
まず登録免許税の15万円(合同会社は6万円)を置き、そこに定款まわりの費用を足していくと、全体の金額が組み立てやすくなります。会社設立の登記費用のうち、大きく動くのは定款の部分と報酬の部分だけです。
計算方法や納め方は、登録免許税のカテゴリーでまとめています。
出典(一次情報)国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」2026年9月15日確認
株式会社の設立登記は資本金の額の1,000分の7(15万円に満たないときは15万円)、合同会社は1,000分の7(6万円に満たないときは6万円)と示されています。
登記事項証明書と印鑑証明書の手数料|登記のあとにかかる料金

会社設立の登記が終わったら、会社の登記事項証明書と印鑑証明書を取ります。法人口座の開設、税務署や都道府県・市町村への届出、取引先への提出と、使う場面がすぐにいくつも来るからです。これも法務局に払う手数料で、請求のしかたで料金が変わります。

登記の前にも証明書の費用があります。株式会社では、定款認証のときに発起人の印鑑証明書、登記のときに設立時取締役の印鑑証明書を出すので、同じ人が兼ねていても個人の印鑑証明書は2通要ります。市区町村の手数料なので金額は地域によって違いますが、1通数百円です。
一つひとつは小さな料金でも、会社設立の直後は登記事項証明書だけで3通から5通は使います。印鑑証明書も合わせると数千円になるので、登記費用の見積もりに最初から入れておくと、あとで足りなくなりません。
出典(一次情報)法務省「登記手数料について」2026年9月15日確認
登記事項証明書は書面請求600円・オンライン請求で送付520円・窓口交付490円、印鑑証明書は書面請求500円・送付450円・窓口交付420円とされています。
紙の定款と電子定款で、登記費用は4万円変わる

会社設立の費用のうち、やり方で省けるいちばん大きな項目が、紙の定款に貼る収入印紙です。印紙税法で定款の原本は4万円の課税文書とされているため、紙で作ればこの金額がかかります。
電子定款にすると、この4万円がかかりません。印紙税は紙の文書に課される税金で、電磁的記録で作った定款は課税の対象にならないためです。株式会社でも合同会社でも同じなので、会社設立の登記費用を抑えたいなら、まず検討するのがここです。
ただし、電子定款を自分で作るには、マイナンバーカード、ICカードリーダライタ、PDFに電子署名を付けるソフトなどが要ります。道具をそろえる手間や費用を考えると、電子定款の作成だけを専門家に頼むという選び方もあります。その場合でも、報酬が4万円を下回れば差し引きで得になる、という計算です。
紙と電子で費用がどう変わり、どこで損得が分かれるかは次の記事で計算しています。
くわしくはこちらの記事紙の定款と電子定款で、会社設立の費用はいくら変わるか|4万円の差が生まれる理由紙の定款には収入印紙4万円が要り、電子定款には要りません。なぜそうなるのかを印紙税法の側から説明し、道具をそろえる費用まで含めて損得を計算します。出典(一次情報)国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(第5号文書から第20号文書)」2026年9月15日確認
印紙税額の一覧表で、第6号文書の定款(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・相互会社の設立のときに作成される定款の原本)は4万円とされています。
会社設立の資本金と登記費用の関係

資本金をいくらにするかで、会社設立の登記費用がどう変わるかを整理しておきます。結論から言うと、資本金が数百万円の範囲では、登録免許税は変わらず、定款認証の手数料だけが動きます。
- 資本金100万円未満:定款認証の手数料3万円(条件を満たせば1万5,000円)。登録免許税は15万円。
- 資本金100万円以上300万円未満:手数料4万円。登録免許税は15万円。
- 資本金300万円以上:手数料5万円。登録免許税は資本金がおよそ2,143万円を超えるまで15万円。
- 合同会社:定款認証がないので手数料はかからず、登録免許税は資本金がおよそ857万円を超えるまで6万円。
ここから言えるのは、費用のために資本金を削っても、節約できるのはせいぜい数万円だということです。資本金は登記簿に載って取引先や金融機関の目に触れる数字でもあり、会社設立の直後の運転資金でもあります。手数料の区分だけで決めるより、事業に必要な額から考えるほうが筋が通ります。
もう一つ、資本金の額は登記費用とは別のところにも響きます。資本金1,000万円未満で会社設立をすると、原則として最初の事業年度などに消費税の納税義務が免除される仕組みがあり、資本金の額を決める材料としてよく話題にのぼります。条件があり制度も見直されてきているので、当てはまるかどうかは国税庁の案内か税理士に確かめてください。
一方で、会社設立のあとに資本金を増やすと、増えた額の0.7%(最低3万円)の登録免許税と、定款や登記の手続きがかかります。最初に小さく始めて早いうちに増資する見込みがあるなら、最初からその額にしておいたほうが通算の登記費用は安くなることもあります。
出典(一次情報)e-Gov法令検索「公証人手数料令」2026年9月15日確認
公証人手数料令で、株式会社の定款認証の手数料が資本金の額等に応じて定められています。
司法書士に頼んだときの登記費用の相場

司法書士に会社設立の登記を頼むと、ここまでの実費に報酬が加わります。司法書士の報酬は自由化されていて、事務所ごとに決めてよいことになっています。そのため「相場」と言っても幅があります。
目安になるのが、日本司法書士会連合会が公表している報酬アンケートです。発起人2名、資本金500万円の株式会社の発起設立で、定款や議事録など登記に必要な書類を作り、定款認証と登記申請を代理した場合の平均は107,887円とされています。回答は数万円から20万円以上まで分かれていて、事務所による幅が大きいことが分かります。

定款の作成だけ、あるいは電子定款への署名だけを頼むという部分的な依頼もあります。この場合は報酬が全部を任せるより小さくなる一方、公証役場や法務局とのやり取り、会社設立の登記の申請書づくりは自分で引き受けることになります。どこまでを自分でやり、どこからを頼むかで、登記費用の総額は細かく変わります。
見積もりを読むときは、実費と報酬が分けて書かれているか、電子定款かどうか、謄本や証明書の取得が含まれているかを確かめます。総額だけを比べると、含まれている範囲の違いで判断を誤ります。報酬の中身と見積もりの読み方は次の記事にまとめています。
くわしくはこちらの記事司法書士に頼むといくらか|実費と報酬を分けて見積もりを読む会社設立の登記を司法書士に頼むときの費用の見方です。実費と報酬を分けて、見積もりのどこを見ればいいかをまとめました。出典(一次情報)日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施)」2026年10月18日確認
日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施)で、発起人2名・資本金500万円の株式会社の発起設立による設立登記の代理を受任した場合の平均は107,887円(有効回答932)とされています。
前提をそろえれば、会社設立の登記費用は一つに決まります
会社設立の登記費用は、登録免許税、定款認証の手数料と謄本代、紙の定款なら印紙代、証明書の手数料、そして頼んだ場合の報酬で組み立てられます。株式会社を自分で電子定款で作るなら17万円から21万円ほど、合同会社なら6万円台が実費の目安です。
まず自分の会社の前提、つまり株式会社か合同会社か、資本金はいくらか、定款は紙か電子か、自分でやるか頼むかを決めてください。そのうえでこのカテゴリーの各記事で項目ごとの金額を当てはめれば、見積もりは迷わずに立ちます。
登記のあとに待っている、税務・社会保険まで任せられる所
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