司法書士の探し方と選び方|会社設立を頼む前に確かめること
会社設立の登記を司法書士に頼むときの探し方と選び方です。相談で聞くこと、依頼から完了までの流れ、遠方に頼めるかまで。
会社設立の登記を司法書士に頼むことにしたけれど、どこに頼めばいいか分からない人に向けた記事です。探し方と、相談の場で確かめることをまとめました。
司法書士に頼むと決めても、次に困るのがどこに頼むかです。まわりに知り合いがいなければ、探すところから始まります。探し方と、選ぶときに見るところを整理しておきます。
どこで探すか

司法書士を探す道は、大きく三つあります。順に見ていきます。
一つめが、日本司法書士会連合会の司法書士検索です。登録されている司法書士と司法書士法人を探せます。
地域から絞り込めるので、自分の本店の近くにある事務所を見つけられます。
ここに載っているのは正式に登録されている人です。資格の有無を確かめる意味でも使えます。
司法書士を名乗っていても登録されていない、ということはまず起きませんが、確かめる手段があるのは安心です。
二つめが、紹介です。すでに会社をやっている知り合いがいれば、聞いてみてください。
実際に頼んだ人の話は、いちばん参考になります。対応の仕方や、進み方の速さが分かります。
金額だけでなく、連絡が取りやすかったか、説明が分かりやすかったか。そこまで聞けるのが紹介の強みです。
税理士や行政書士に相談していれば、そこから紹介してもらえることもあります。
商工会議所や商工会でも、専門家を紹介する仕組みを持っていることがあります。
創業の相談窓口を置いている自治体もあります。会社設立の相談を無料で受けてくれるところが多いので、まずそこに聞いてみる手もあります。
三つめが、インターネットで探す方法です。会社設立を扱っている事務所は、たいていサイトを持っています。
地域名と会社設立で検索すれば、近くの事務所が出てきます。料金を出しているところも多くあります。
ただし、検索の上位にあるから良い事務所とは限りません。あくまで入口として使ってください。
どの道で探しても構いません。複数の事務所に当たって比べるのが、結局はいちばん確実です。
会社設立の登記は一度きりなので、そこに少し時間をかける価値があります。
とはいえ、何週間もかけるものではありません。三つほどの事務所に当たれば、費用の幅も対応の仕方も見えてきます。
出典(一次情報)日本司法書士会連合会「司法書士検索」2026-09-15確認
会社設立を扱っているか

司法書士なら誰でも会社設立の登記を扱える、というわけではありません。
資格のうえではできますが、実際に扱っているかどうかは事務所によります。
司法書士の仕事には、不動産登記と商業登記があります。扱う割合は事務所ごとに違います。
不動産登記を中心にしている事務所も多くあります。相続や売買の登記が主な仕事です。
会社設立を頼むなら、商業登記を日常的に扱っている事務所のほうが話が早く進みます。
サイトを見れば、たいてい分かります。会社設立の説明が詳しく書いてあるかどうかです。
料金の目安を出している事務所なら、そこも判断材料になります。
料金を公開している事務所は、あとから大きく変わることが少ない傾向があります。会社設立の見積もりを取る前の段階で、おおよその見当がつきます。
電子定款に対応しているかも確かめてください。対応していれば、収入印紙の4万円がかかりません。
オンラインで会社設立の登記を申請してくれるかも聞いておくとよいでしょう。そのぶん早く進むことがあります。
ただし、地元で長くやっている事務所には、別の良さもあります。顔を合わせて相談できることです。
どちらを取るかは、自分が何を求めているかによります。
速さを取るか、相談しやすさを取るか。会社設立の事情によって、重く見るところは変わります。
会社設立のあとも変更登記で付き合うことになるので、長く相談できる先を選ぶという考え方もあります。
本店を移す、役員を変える、事業目的を足す。会社を続けていれば、登記が必要な場面は何度も来ます。そのたびに探し直すのは手間です。
出典(一次情報)日本司法書士会連合会「日本司法書士会連合会」2026年9月15日確認
相談で聞くこと

相談の場では、聞くことを決めていくと話が早く進みます。

まず、どこまでやってくれるかです。範囲が違えば費用も変わります。
次に費用です。実費と報酬を分けて出してもらってください。追加費用が出る条件も聞いておきます。
そして期間です。相談から会社設立の登記の完了まで、どれくらいかかるかを聞いてください。
許認可の申請が控えているなら、そこから逆算することになります。日程は大事な条件です。
連絡の仕方も確かめてください。電話中心なのか、メールで済むのか、オンラインの面談があるのか。
会社設立の準備を仕事の合間に進めるなら、ここが合わないと進みません。
会社設立のあとの相談ができるかも聞いておくとよいでしょう。変更登記は何年かおきに出てきます。
初回の相談を無料にしている事務所は多くあります。そこを使って比べてください。
相談のときに、自分の事業の中身も伝えておくとよいでしょう。許認可が絡むかどうかで、会社設立の進め方が変わることがあります。
出典(解説)ベンチャーサポート「会社設立を司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人」2026年9月15日確認
費用の合意の仕方

費用の話は、はっきりさせておくほうがお互いのためです。
日本司法書士会連合会の説明では、司法書士の報酬については各司法書士が自由に定めることになっているとされています。
そのうえで、会則では報酬の額や算定方法・諸費用を明示し、依頼者との合意によって決定することになっているとも示されています。
つまり、明示してもらったうえで合意するのが本来の形です。分からないまま進めるものではありません。
だから、金額と内訳を書面で出してもらってください。口頭だけだと、あとで食い違うことがあります。
会社設立の登記が終わってから請求額を見て驚く、ということを避けられます。
追加費用が出る条件も、そこに書いてもらうとよいでしょう。
発起人が多い場合、現物出資がある場合、補正が出た場合。加算される条件は事務所によって違います。
支払いの時期も聞いておいてください。着手のときに一部、完了のときに残りという形が多くあります。
実費は先に預けることが多くあります。登録免許税や定款認証の手数料を立て替えてもらう形です。
領収書や精算書をもらえるかも確かめてください。会社設立の費用は、あとで経費として処理します。
設立にかかった費用は創立費として処理できることがあります。詳しいことは税理士か税務署に確かめてください。
こうしたやり取りがきちんとできる事務所なら、安心して任せられます。
逆に、金額をはっきり出さない、質問にきちんと答えない。そういう相手なら、別のところを当たってください。会社設立は任せきりにできる手続きではありません。
出典(一次情報)日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」2026-09-15確認
依頼から完了までの流れ

頼むと決めてから会社設立の登記が終わるまでの流れを見ておきます。

最初に相談して、見積もりをもらいます。ここまでは無料の事務所が多くあります。
頼むと決めたら、委任状に押印します。個人の印鑑証明書も渡すことになります。
会社の実印は、この時期までに作っておいてください。払込証明書と印鑑届書に押します。
印鑑ができていないと、そこで会社設立の準備が止まります。商号が決まった時点で注文しておいてください。
司法書士が定款を作り、株式会社なら定款認証を受けます。代理で行ってもらえます。
資本金の払込は自分でやります。発起人の個人口座に振り込んで、その記録を渡します。
そして会社設立の登記の申請です。申請した日が会社設立の日になります。
この日を指定したい場合は、先に伝えておいてください。縁起のよい日を選ぶ人もいますし、事業年度の都合で選ぶ人もいます。
完了したら、登記事項証明書と印鑑カードを受け取ります。ここまでが司法書士の仕事です。
そのあとの税務署や年金事務所への届出は、自分で進めるか、別の資格者に頼むことになります。
法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、社会保険は5日以内。会社設立の登記が終わったところから、すぐに次が来ます。
出典(解説)リーパル会計事務所「会社設立を司法書士に依頼するメリットは?」2026年9月15日確認
遠方の事務所に頼めるか

会社設立の登記は、本店を管轄する法務局に出します。では、遠方の司法書士に頼めるのでしょうか。
頼めます。司法書士の業務に地域の制限はありません。
オンラインで登記を申請できるので、事務所が遠くても手続きは進みます。
書類のやり取りは郵送になります。委任状や印鑑証明書を送ることになります。
打ち合わせも、電話やオンラインの面談で済ませられる事務所が増えています。
ただし、定款認証で公証役場に行く場合は、そこも代理してもらう形になります。
公証役場は、本店の所在地を管轄する法務局の管内にあるところを選びます。だから遠方の司法書士でも、そこまで足を運ぶことになります。
定款認証をオンラインで受けられる仕組みもあります。対応している公証役場かどうかで、進め方が変わってきます。
近くの公証役場と連携している事務所のほうが、動きが速いことはあります。
料金が安いという理由だけで遠方を選ぶと、郵送のやり取りで日数がかかることがあります。
会社設立を急いでいるなら、そこも勘定に入れてください。
郵送でのやり取りは、往復で数日かかります。書類に不備があれば、もう一往復です。
逆に、時間に余裕があって費用を抑えたいなら、遠方でも問題ありません。
自分の都合に合うほうを選んでください。正解は一つではありません。
本店の近くに事務所があると、書類を持っていける利点もあります。急ぎのときに直接やり取りできるのは大きいことです。
出典(一次情報)法務省「登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出について」2026年9月15日確認
任せられないこと

司法書士に頼んでも、自分で決めることは残ります。そこは誤解しないでください。
商号、事業目的、本店の住所、資本金の額、役員になる人。これらは全部こちらで決めます。
司法書士が助言してくれることはありますが、決めるのは自分です。
とくに事業目的は、自分の事業を言葉にする作業です。他人には決められません。
許認可が絡むなら、所管の官庁に文言を確かめるのも自分の仕事です。
定款に入れる目的の文言は、許可の要件に直結します。ここを外すと、会社設立のあとに定款変更と登記のやり直しになります。
司法書士は登記の専門家であって、許認可の専門家ではありません。そこは行政書士や所管の官庁の領域です。
税務の判断も範囲外です。資本金をいくらにするか、決算期をどこにするか。これらは税理士に相談することになります。
会社設立の登記が終わったあとの届出も、司法書士の仕事ではありません。
法人設立届出書は税務署、社会保険は年金事務所。それぞれ期限があります。
こうした範囲を分かっていないと、任せたつもりで抜けが出ます。
相談のときに、何が含まれて何が含まれないかをはっきりさせておいてください。
会社設立の登記の完了までが範囲なのか、そのあとの届出の案内まで見てくれるのか。そこが事務所によって違います。
会社設立をまとめて扱う事務所なら、提携先を紹介してくれることもあります。
税理士、社会保険労務士、行政書士。会社設立の前後で必要になる資格者を、まとめて紹介してもらえることがあります。
出典(解説)マネーフォワード クラウド会社設立「合同会社や株式会社設立を司法書士に依頼する費用」2026年9月15日確認
自分でやる道も残っている

相談してみて、費用が見合わないと感じたら、自分でやる道も残っています。
会社設立の登記は、自分で申請できます。専門家に頼まなければならない決まりはありません。
法務局の登記手続案内を使えば、無料で相談できます。予約制で、1回20分以内という運用が多くあります。
申請書の様式と記載例は、法務局のサイトから落とせます。それを見ながら作れます。
定款の形式については、株式会社なら公証役場で事前に見てもらえます。認証の前のやり取りで確かめられます。
つまり、聞ける窓口は用意されているということです。まったくの手探りではありません。
合同会社なら、定款認証がないぶん手続きが少なくて済みます。自分でやるハードルも下がります。
紙の定款だと収入印紙の4万円がかかりますが、それでも報酬より安く済むことがあります。
そこを計算して、どちらが自分に合うかを決めてください。
株式会社で紙の定款なら、実費だけで19万円ほどかかります。そこに報酬が乗るかどうかという比べ方になります。
一部だけ頼むという選び方もあります。定款だけ行政書士に作ってもらうといった形です。
全部を任せるか、全部を自分でやるか。その二択ではありません。
会社設立の準備に使える時間と、抑えたい費用のつり合いで決めてください。
定款の作り方や登記の申請書の書き方については、それぞれを扱った記事があります。読んでみて、できそうかどうかで判断するのも一つの方法です。
出典(一次情報)法務局「登記手続案内」2026年9月15日確認
まとめ

司法書士を選ぶときに見るところを、まとめておきます。
- 日本司法書士会連合会の司法書士検索で、登録されている司法書士と司法書士法人を探せる。
- 商業登記を日常的に扱っている事務所のほうが、会社設立の話は早く進む。
- 電子定款に対応しているかを確かめる。対応していれば収入印紙の4万円がかからない。
- 相談では、範囲・費用・期間・連絡の仕方を聞く。初回無料の事務所が多い。
- 報酬は明示され、依頼者との合意によって決まるとされている。書面で出してもらう。
- 遠方の事務所にも頼める。ただし郵送のやり取りで日数がかかることがある。
- 商号や事業目的を決めるのは自分。税務と許認可は司法書士の範囲外。
ここに書いた報酬の扱いは、日本司法書士会連合会の説明にもとづく2026年9月15日時点のものです。費用も対応の範囲も事務所によって違います。会社設立の前に、複数の事務所に相談して確かめてください。
出典(一次情報)日本司法書士会連合会「司法書士検索」2026-09-15確認
三つの事務所に、同じ内容で聞いてみてください
同じ条件を伝えて、三つの事務所から見積もりをもらう。それだけで、費用の幅も、対応の仕方の違いも見えてきます。初回の相談を無料にしている事務所は多いので、費用はかかりません。
実費と報酬の分け方や、見積もりの読み方については、会社設立の費用を扱った記事があります。
登記のあとに待っている、税務・社会保険まで任せられる所
会社設立の登記が終わっても、税務署への届出や社会保険の手続きは残ります。定款の内容によって決算期も変わるので、登記と合わせて相談先を決めておくと迷いません。※弊社調べになります。
この記事は、会社設立の登記と定款の疑問を解くのに役に立ちましたか。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 登記 定款」を足して検索したときに出てきたサイトです。掲載順は優劣を表すものではありません。リンク先の内容は各サイトの管理者に帰属します。
- 法務省|商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました令和3年2月15日から、オンライン申請なら印鑑の提出が任意になった。その扱いの説明。
- HTタックス|会社設立を最短3日で行うロードマップ急ぐときにどこを詰められるかが書かれている。
- GVA 法人登記|会社設立〜法人登記の流れや手順を解説設立から登記完了までを一本の流れで。
- ゴールドオンライン|会社設立の核心部分、「定款」の作成から「登記」までの手順司法書士の解説記事。
- Airレジ マガジン|会社設立の方法や流れは?流れを工程ごとに区切って説明。
- 国税庁|No.7141 印紙税額の一覧表(第5号文書から第20号文書)第6号文書の定款が4万円と示されている表。紙の定款の印紙代の根拠。
- 法務省|登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出について登記すべき事項をオンラインで提出する方法の説明。CSV の作り方まで案内がある。
- 登記・供託オンライン申請システム|初めてご利用になる方へ必要な環境と準備物の一覧。マイナンバーカードや電子証明書の話もここ。
- 弥生|定款とは?作り方と意味、記載事項をわかりやすく解説定款の役割と作り方を最初から。
- マネーフォワード クラウド会社設立|会社の定款とは?意味や読み方・記載事項定款の読み方から記載事項までを一通り。
- マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社の設立費用はいくら?内訳・節約方法合同会社の実費を項目別に並べている。
- 国税庁|質疑応答事例(印紙税・電磁的記録)電磁的記録が課税文書に当たらないという考え方の出どころ。電子定款の理屈の背骨。
- 中小企業庁|会社設立時の登録免許税の軽減について特定創業支援等事業の証明を受けたときの軽減措置の案内。認定市区町村の一覧も辿れる。
- 法務省|オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について印鑑届書をオンラインで出す方法と条件。登記の申請と同時に行う場合に限られる点まで。
- 登記・供託オンライン申請システム会社設立の登記をオンラインで出すときの入口。申請用総合ソフトもここから。
- 鈴木税理士事務所|はじめてでも自分でできる!会社設立の流れ・全手順自分でやる人向けに手順を細かく。
- 起業ログ|会社設立は3ステップで完了する!工程を大きく三つに割って説明。
- 日本司法書士会連合会|司法書士の報酬報酬は各司法書士が自由に定め、額や算定方法を示して依頼者との合意で決める。相場の話の出発点。
- マネーフォワード クラウド会社設立|電子定款は自分で作成できる!電子定款を自作するときの道具立てと手順。
- freee|株式会社の定款変更が必要なケースは?どの変更で登記が要るかの線引きが分かる。
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