資本金の払込と払込証明書の作り方|通帳コピーはどこを取るか
会社設立の登記に添える払込証明書の作り方です。払い込む口座、通帳コピーの取り方、ネット銀行の場合までまとめました。
会社設立の登記の準備が進んで、資本金の払込と払込証明書の作成にさしかかった人に向けた記事です。どの口座に、いつ払い込むのか。通帳のどこをコピーするのか。
払込証明書は、会社設立の登記の添付書類のなかでも自分で作るものです。ひな形どおりに書けば難しくありませんが、通帳のコピーの取り方と日付の順序でつまずく人が多いところです。
払込証明書とは何か

払込証明書というのは、資本金が実際に払い込まれたことを証明する書類です。会社設立の登記に添えます。
正式には「払込みがあったことを証する書面」といいます。法務局の記載例にもこの名前で載っています。
会社設立のとき、資本金は発起人が出します。そのお金が本当に入ったことを、書面で示すわけです。
この書類は、代表取締役になる人が作ります。銀行に作ってもらうものではありません。
昔は銀行の払込金保管証明書というものが使われていましたが、いまの発起設立では通帳のコピーで足ります。
つまり、自分で書いて、会社の実印を押して、通帳のコピーをつづる。それで完成します。
費用はかかりません。会社設立の費用を抑えたい人には、ありがたい仕組みです。
ただし、作り方に決まりがあります。そこを外すと、会社設立の登記で補正になります。
つまずきやすいのは、日付の順序と、通帳のどこをコピーするかです。この記事ではそこを重点的に扱います。
合同会社の場合も、同じように払込を証する書面が要ります。作り方はほぼ同じです。
定款に定めた出資の額と、実際に払い込んだ額が合っているかを、登記官が確かめます。
合っていなければ補正になります。逆にいえば、合ってさえいれば通るということです。
だから、定款を作ってから払い込むという順番になります。次の項でくわしく見ます。
定款、払込、登記。この三つの日付が順に並んでいるかどうかが、会社設立の登記で見られるところです。ここを外さなければ、あとは書式どおりに書くだけです。
出典(解説)freee「払込証明書は会社設立登記の申請に必要!」2026年9月15日確認
いつ払い込むか

払込のタイミングは、会社設立の準備でいちばん間違えやすいところです。
実務では、定款の作成日以後に払い込むのが無難とされています。定款で出資の額を定めてから、そのとおりに払い込むという順序です。
定款を作る前に振り込んでしまうと、その払込が定款にもとづくものといえるかが問題になります。
取扱いが分かれるところなので、日付が前後してしまった場合は法務局の登記手続案内で確かめてください。
株式会社の場合、定款認証を受けてから払い込むという進め方が、もっとも安全です。
認証の日付が定款に記録されるので、それ以後の払込なら順序がはっきりします。
合同会社には定款認証がないので、定款に記載した作成日が基準になります。
そして、払い込んだあとに会社設立の登記を申請します。これが全体の順序です。
定款の作成、払込、登記の申請。この三つが日付の上で順に並んでいることを確かめてください。
払込証明書に書く日付は、払込が完了した日以後にします。登記の申請日と同じ日でも構いません。
会社設立の登記を急いでいると、この順序が乱れがちです。落ち着いて日付を並べてみてください。
一度作り直すだけなら大した手間ではありませんが、定款から作り直すとなると話が変わります。
株式会社の場合、定款認証の手数料はやり直しになると戻りません。日付の順序は、そこまで影響するということです。
出典(解説)ベンチャーサポート「会社設立時に必要な払込証明書の作り方と注意点」2026年9月15日確認
どの口座に払い込むか

払い込む先は、発起人の個人名義の口座です。会社の口座ではありません。
会社設立の登記が終わっていないので、会社の口座はまだ作れません。だから個人の口座を使います。
発起人が複数いる場合は、代表になる発起人の口座を使うのが一般的です。定款で定めることもできます。
すでに持っている口座で構いません。会社設立のために新しく作る必要はありません。
残高があっても問題ありません。ただし、資本金の払込だと分かる形にする必要があります。
自分の口座に自分で払い込む場合も、いったん出して入れ直すほうが分かりやすくなります。
通帳に振込の記録が残るからです。もともとある残高では、払い込んだことが見えません。
発起人が複数いる場合は、それぞれが自分の名義で振り込みます。名前が通帳に残る形にしてください。
誰がいくら出したかが分かることが大事です。定款に書いた額と合っているかを見られます。
現金を窓口で入金する場合も、名前が通帳に残るようにしてください。ATMだと名前が出ないことがあります。
「振込」の形にしておくと、誰がいくら入れたかが通帳に残ります。会社設立の登記で確かめられるのは、その記録です。
会社設立の登記が終わって会社の口座を作ったら、そのお金を会社の口座に移します。
移すまでのあいだ、発起人の口座から使わないでください。資本金なので、会社のお金になるものです。
会社設立の登記の直後に開業の費用を払いたくなりますが、会社の口座ができるまでは動かさないほうが無難です。記録が混ざると、あとで説明しにくくなります。
出典(解説)マネーフォワード クラウド会社設立「会社設立時の「資本金払込」とは?」2026年9月15日確認
通帳のコピーの取り方

払込証明書には、通帳のコピーをつづります。ここでコピーする場所が決まっています。

一つめが表紙です。銀行名と支店名が分かるページをコピーします。
二つめが、表紙の裏の見開きです。口座番号と名義人が印字されているところです。
ここがいちばん大事です。どの口座に払い込まれたかが、このページで分かります。
三つめが、振込の記録があるページです。資本金の払込が記帳されているところをコピーします。
日付、金額、振込人の名前が見える状態にしてください。ここが読めないと確かめられません。
該当する行に線を引くか印を付けると、どれが資本金の払込かが分かりやすくなります。
この三か所を順につづって、払込証明書の後ろに付けます。そして会社の実印で契印を押します。
契印というのは、つづった書類のつなぎ目に押す印のことです。差し替えを防ぐためのものです。
会社設立の登記では、この形でまとまっていることが求められます。バラバラのままでは出せません。
ホチキスで左側を綴じて、見開きのつなぎ目に印を押す形が一般的です。法務局の記載例にも、その形が示されています。
出典(解説)税理士法人松本「会社設立時に資本金を入金した通帳コピーを取る方法」2026年9月15日確認
払込証明書に書くこと

払込証明書そのものに書くことは決まっています。法務局の記載例に沿えば迷いません。
表題は「払込みがあったことを証する書面」です。
本文には、払込があった株式の数、払込があった金額の総額、1株の払込金額を書きます。
合同会社の場合は、株式ではなく出資の額を書きます。書き方が少し変わります。
そして日付です。払込が完了した日以後の日を書きます。
会社の商号と、本店の所在地を書きます。定款に書いたものと同じにしてください。
最後に、設立時代表取締役の氏名を書いて、会社の実印を押します。
会社の実印というのは、会社設立の登記で印鑑届書に押す印のことです。この段階で作っておく必要があります。
つまり、払込証明書を作るには会社の印鑑が先に要るということです。会社設立の準備では、印鑑の手配を早めにしてください。
印鑑ができていないと、ここで止まります。作るのに数日から1週間ほどかかります。
実印、銀行印、角印の三本セットで注文することが多いところです。会社設立の商号が決まったら、すぐに手配しておいてください。
書式は法務局のサイトから落とせます。会社設立の登記の様式と同じページにあります。
記載例もあるので、それを見ながら埋めていけば作れます。特別な文章を考える必要はありません。
商号や本店の書き方を定款と少しでも変えると、そこを指摘されます。写し取るつもりで書いてください。
出典(解説)関司法書士事務所「払込証明書」2026年9月15日確認
ネット銀行を使う場合

ネット銀行には通帳がありません。この場合どうするかという問題があります。
結論としては、画面を印刷したもので足りるとされています。会社設立の登記で認められています。
印刷するのは、通帳のコピーと同じ内容が分かるものです。銀行名、支店名、口座番号、名義人、そして取引の記録です。
取引の明細を表示して、資本金の払込が分かる部分を印刷します。日付と金額と振込人の名前が要ります。
口座の情報が分かる画面と、取引の明細の画面。この二つが必要になります。
一つの画面に全部が出ていれば、それ一枚で足りることもあります。銀行によって画面の作りが違います。
印刷したものに、どれが資本金の払込かを示す印を付けておくと分かりやすくなります。
ただし、法務局によって求められる形が少し違うことがあります。心配なら事前に確かめてください。
会社設立の登記手続案内で、印刷したものを持っていって見てもらうこともできます。
ネット銀行は、あとで会社の口座を作るときにも使えることがあります。審査は別に受けることになります。
会社設立の直後は法人口座の開設に時間がかかることが多いので、早めに動いてください。
登記事項証明書が取れるようになってからでないと申し込めません。会社設立の登記が完了する日を見ながら準備してください。
払込に使う口座と、会社の口座は別のものです。混同しないようにしてください。
会社設立の登記に添えるのは、発起人の個人口座のほうです。あとから作る会社の口座は、この書類には出てきません。
出典(解説)GMOあおぞらネット銀行「会社設立時の資本金の払込方法」2026年9月15日確認
資本金の額をどう決めるか

資本金の額は自由に決められます。会社法では下限がないので、1円でも会社設立はできます。
ただし、額によって変わるものがいくつかあります。決める前に見ておいてください。
一つめが登録免許税です。株式会社の設立登記は資本金の額の1000分の7で、15万円に満たないときは15万円です。
つまり、資本金が約2,143万円までは一律15万円になります。それを超えると増えていきます。
合同会社は1000分の7で、6万円に満たないときは6万円です。会社設立の費用の差がここに出ます。
二つめが消費税です。事業年度開始の日における資本金の額が1,000万円以上だと、設立1期目から課税事業者になります。
1,000万円未満なら、基準期間がないので原則として1期目と2期目は納税義務が免除されます。
三つめが地方税の均等割です。資本金の額と従業員の数で金額が決まります。
四つめが信用です。資本金は登記簿に載るので、取引先や金融機関から見えます。
極端に少ないと、事業を続けられるのかと見られることがあります。融資の場面でも見られます。
目安としては、開業の費用と数か月ぶんの運転資金をまかなえる額にしておくと無難です。会社設立の直後は、入金より先に支払いが来ます。
五つめが許認可です。業種によっては資本金の下限が決まっています。建設業などが典型です。
こうした点を見ながら決めることになります。会社設立の準備では、事業年度の決め方と一緒に考えてください。
資本金は、あとから増やすことも減らすこともできます。ただし、どちらも登記が要ります。最初にある程度考えておくほうが楽です。
出典(一次情報)国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」2026年9月15日確認
よくある不備

会社設立の登記で払込証明書が補正になる場面を挙げておきます。先に知っておけば避けられます。
まず、日付の順序です。定款の作成より前に払い込んでいると、指摘されることがあります。
次に、金額の不一致です。定款に書いた出資の額と、通帳の金額が合っていないと通りません。
振込手数料が引かれて、端数が合わなくなることがあります。手数料は別に払うか、多めに振り込んでください。
発起人が複数いる場合、それぞれの額が定款と合っているかも見られます。
名義の問題もあります。振込人の名前が発起人の名前と違うと、誰が出したのか分からなくなります。
旧姓や屋号で振り込んでしまうと、確かめられません。発起人本人の名前で振り込んでください。
通帳のコピーが不鮮明なこともあります。文字が読めないと確かめられないので、はっきり写してください。
口座番号と名義人のページを取り忘れることもよくあります。表紙だけでは足りません。
契印を押し忘れる例もあります。つづった書類には、つなぎ目に会社の実印を押してください。
会社の実印がまだできていなくて止まる、というのもよくある話です。印鑑は早めに手配してください。
どれも事前に確かめれば防げるものです。会社設立の登記を出す前に、一度並べて見直してください。
定款、払込証明書、通帳のコピー。この三つを机に並べて、金額と日付と名前を突き合わせるだけで足ります。5分で終わる作業です。
出典(解説)鈴木健志税理士事務所「会社設立時に必要な払込証明書の作り方と注意点」2026年9月15日確認
まとめ

払込証明書は自分で作れます。順番と通帳のコピーさえ押さえれば、難しいものではありません。
- 払込証明書は代表取締役になる人が作る。銀行に作ってもらうものではない。
- 払い込む先は発起人の個人名義の口座。会社の口座はまだ作れない。
- 定款の作成、払込、登記の申請。この順に日付が並ぶようにする。
- 通帳のコピーは、表紙・口座番号と名義人のページ・振込の記録のページの三か所。
- つづって会社の実印で契印を押す。実印は先に作っておく必要がある。
- ネット銀行なら画面を印刷したもので足りる。口座情報と取引明細の両方を用意する。
- 資本金の額は自由だが、登録免許税・消費税・均等割・許認可に影響する。
ここに書いた登録免許税と消費税の内容は、国税庁の資料にもとづく2026年9月15日時点のものです。法務局によって求められる形が少し違うことがありますし、税の判断は事業の中身によって変わります。会社設立の登記の前に、法務局の登記手続案内と、税務署か税理士に確かめてください。
出典(解説)freee「払込証明書は会社設立登記の申請に必要!」2026年9月15日確認
会社の実印だけは、先に手配してください
払込証明書には会社の実印を押します。印鑑ができていないと、ここで止まります。作るのに数日から1週間ほどかかるので、定款を作り始めるころに注文しておくと流れが止まりません。
資本金をいくらにするかは、事業年度の決め方とも関わってきます。決算期と消費税の話については、それを扱った記事があります。
登記のあとに待っている、税務・社会保険まで任せられる所
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