司法書士に頼むといくらか|実費と報酬を分けて見積もりを読む
会社設立の登記を司法書士に頼むときの費用の見方です。実費と報酬を分けて、見積もりのどこを見ればいいかをまとめました。
会社設立の登記を自分でやるか司法書士に頼むか迷っている人と、すでに見積もりを取って金額の意味が分からない人に向けた記事です。
司法書士に頼むといくらかかるのか。この問いに一つの答えはありません。ただ、費用の組み立て方は決まっています。そこを知っていれば、見積もりを読めるようになります。
費用は実費と報酬に分かれる

会社設立を司法書士に頼むときの費用は、大きく二つに分かれます。実費と報酬です。
実費というのは、国や公証役場に納めるお金です。登録免許税、定款認証の手数料、収入印紙など。
この部分は、誰が頼んでも同じ額になります。自分でやっても同じです。
報酬というのは、司法書士に払う手間賃です。ここが事務所によって変わります。
見積もりを読むときは、まずこの二つが分かれているかを見てください。
分かれていない見積もりだと、何にいくら払っているのかが分かりません。
会社設立の費用を比べるときも、報酬の部分だけを比べることになります。実費は同じだからです。
合計額だけを見て比べると、実費の見積もり方の違いで話がずれます。
たとえば登記事項証明書を何通取るかで、実費の合計が変わります。そこは中身の違いです。
会社設立のあと、登記事項証明書は法人口座の開設や各種の届出で使います。何通含まれているかは、見積もりを読むときに見ておくところです。
だから、内訳を出してもらってください。まともな事務所なら、はっきり示してくれます。
内訳を出さない事務所は、その時点で外してよいと思います。会社設立の費用は決して小さくない額です。
会社設立の登記は一度きりの手続きです。比べる機会も一度しかありません。
この記事では、実費の中身と報酬の考え方を順に見ていきます。
実費のほうは金額が決まっているので、一次情報で確かめられます。報酬のほうは決まっていないので、考え方を押さえることになります。
出典(解説)マネーフォワード クラウド会社設立「合同会社や株式会社設立を司法書士に依頼する費用」2026年9月15日確認
実費の中身

実費の中身を見ていきます。株式会社と合同会社で違うので、分けて考えてください。
まず登録免許税です。株式会社の設立登記は資本金の額の1000分の7で、15万円に満たないときは15万円になります。
合同会社は1000分の7で、6万円に満たないときは6万円です。ここが大きな差になります。

次に定款認証の手数料です。株式会社の会社設立で、公証役場に納めます。
資本金の額等が100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。
令和6年12月1日からの額です。それ以前に嘱託された場合は、改正前の手数料が適用されます。
さらに、一定の要件をすべて満たす場合は1万5,000円になります。
その要件は、発起人の全員が自然人で3人以下であること、定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること、定款に取締役会を置く旨の記載がないことです。
合同会社には定款認証がありません。だから、この手数料はかかりません。
そして収入印紙です。紙の定款には4万円の収入印紙を貼ります。印紙税法の第6号文書にあたるからです。
電子定款にすれば、この4万円はかかりません。ここが電子定款の大きな利点です。
ほかに、定款の謄本の交付手数料や、登記事項証明書と印鑑証明書を取る費用がかかります。会社設立の直後に何通取るかで変わる部分です。
出典(一次情報)国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」2026年9月15日確認
報酬は自由に定められる

報酬のほうは、事情が違います。決まった額がありません。
日本司法書士会連合会の説明では、司法書士が業務を行ったときに受ける報酬については、各司法書士が自由に定めることになっているとされています。
また、会則では、司法書士の報酬はその額や算定方法・諸費用を明示し、依頼者との合意によって決定することになっているとも示されています。
つまり、額そのものは事務所が決め、依頼する人との合意で決まるということです。
だから、公的に決まった相場というものはありません。ここは理解しておいてください。
インターネットで見かける相場の数字は、事務所やメディアが独自に示しているものです。
参考にはなりますが、それが正しい額というわけではありません。
地域や事務所の規模によっても違います。会社設立を数多く扱う事務所は、そのぶん効率よく進められることがあります。
会社設立の報酬が事務所によって違うのは、何をどこまでやるかが違うからでもあります。
登記の申請だけを頼むのか、定款の作成から任せるのか。範囲が違えば額も違います。
だから、金額だけを見て比べても意味がありません。範囲と一緒に見てください。
安く見える見積もりが、実は登記の申請だけだった。そういうことが起きます。定款の作成が含まれていないと、そこは自分でやることになります。
複数の事務所から見積もりを取って比べるのが、いちばん確実です。無料で見積もりを出すところが多くあります。
会社設立は一度きりなので、そこに時間をかける価値があります。
同じ内容で3つの事務所に見積もりを頼めば、報酬の幅が見えてきます。そこから自分の納得できる線を選んでください。
出典(一次情報)日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」2026-09-15確認
見積もりで見るところ

見積もりを取ったら、どこを見ればよいのか。確かめる点を挙げておきます。

まず、実費と報酬が分かれているかです。これが分かれていない見積もりは比べられません。
次に、どこまでやってくれるかです。定款の作成、定款認証の代理、会社設立の登記の申請。
登記の申請だけを頼む形もありますし、定款の作成から任せる形もあります。
電子定款で作ってくれるかも確かめてください。電子定款なら収入印紙の4万円がかかりません。
自分でやると電子定款には設備が要りますが、司法書士に頼めばその分は事務所の設備で済みます。
会社設立のあとの届出が含まれるかも聞いてください。税務署や年金事務所への届出です。
これらは司法書士の業務ではないので、含まれないのがふつうです。税理士や社会保険労務士の仕事になります。
提携している事務所を紹介してくれることはあります。会社設立のあとまで見通して相談したいなら、そこも聞いてみてください。
追加費用が出る条件も確かめてください。発起人が多い場合や現物出資がある場合に加算されることがあります。
補正が出たときの扱いも聞いておくとよいでしょう。会社設立の登記で指摘を受けた場合に、追加の費用が出るのかどうかという話です。
出典(解説)ベンチャーサポート「会社設立を司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人」2026年9月15日確認
電子定款と4万円

会社設立の費用を考えるときに大きいのが、定款の収入印紙4万円です。
紙の定款は、印紙税法の第6号文書にあたります。だから4万円の収入印紙を貼ります。
電子定款なら、この印紙が要りません。電磁的記録は課税文書にあたらないという整理です。
つまり、電子定款にするだけで4万円が浮くということです。
ただし、自分で電子定款を作るには準備が要ります。電子署名のための設備とソフトです。
マイナンバーカードと、対応したソフトと、カードリーダー。会社設立の一度きりのために用意することになります。
そろえる費用と手間を考えると、4万円が丸ごと浮くわけではありません。
ソフトの利用料がかかることもありますし、設定に手間取ることもあります。会社設立の一度きりのためだけなら、割に合わないこともあります。
司法書士に頼むと、事務所の設備で電子定款を作ってくれます。自分で用意する必要がありません。
だから、報酬が4万円以下なら、紙の定款で自分でやるより安くなる計算になります。
実際には報酬がそれを超えることが多いのですが、差額はそのぶん縮まります。
会社設立の費用を比べるときは、この4万円を勘定に入れてください。
見積もりに電子定款が含まれているかどうかで、実質の負担が変わるということです。
合同会社の会社設立でも、定款の印紙は同じように4万円です。定款認証がないだけで、印紙の話は変わりません。
出典(一次情報)国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(第5号文書から第20号文書)」2026年9月15日確認
自分でやる場合との差

会社設立の登記は、自分でもできます。専門家に頼まなければならない決まりはありません。
自分でやれば、報酬はかかりません。実費だけで済みます。
そのかわり、時間がかかります。定款を作り、書類をそろえ、法務局に出す。
調べる時間も含めると、会社設立の準備に何日かを使うことになります。
法務局の登記手続案内を使えば、無料で相談できます。予約制で、1回20分以内という運用が多くあります。
つまずいても聞ける場所があるということです。だから、自分でやる道も現実的です。
頼む場合は、その時間を買うことになります。事業の準備に時間を使いたいなら、そちらが合理的です。
また、間違いのリスクも減ります。補正になると、そのぶん会社設立が遅れます。
急いでいる場合や、現物出資など複雑な事情がある場合は、頼むほうが確実です。
許認可の申請が控えていて、会社設立の日から逆算しなければならない場合も同じです。遅れが直接に響きます。
逆に、時間に余裕があって、書類を作るのが苦にならないなら、自分でやって構いません。
どちらが正しいということはありません。自分の時間の価値で決めることです。
会社設立の準備に使える時間が週末しかないのか、平日も動けるのか。そこでも判断は変わってきます。
合同会社なら、株式会社より手続きが少なくて済みます。自分でやるハードルも下がります。
定款認証がないので、公証役場に行く手間もありません。会社設立の登記だけに集中できる形です。
出典(解説)リーパル会計事務所「会社設立を司法書士に依頼するメリットは?」2026年9月15日確認
資格ごとの役割

会社設立には、いくつかの資格が関わります。役割が分かれているので、整理しておきます。
登記の申請を代理できるのは司法書士です。会社設立の登記も、変更登記も同じです。
行政書士は、定款の作成や許認可の申請を扱います。登記の申請の代理はできません。
だから、行政書士に定款を作ってもらって、登記は自分で出すという組み合わせもあります。
税理士は、税務の届出や会計を扱います。会社設立のあとの税務署への届出は税理士の仕事です。
社会保険労務士は、社会保険や労働保険の手続きを扱います。従業員を雇うなら関わってきます。
会社設立をまとめて扱う事務所もあります。複数の資格者が組んでいる形です。
その場合、どの部分を誰がやるのかを確かめておいてください。見積もりの中身が分かりやすくなります。
会計ソフトの会社が提供する会社設立の支援サービスもあります。書類を自動で作ってくれる仕組みです。
こちらは登記の代理まではしないことが多いので、申請は自分で出すことになります。
自分がどこまで自分でやりたいかによって、選ぶ先が変わります。
会社設立の準備を始める前に、そこを決めておくと動きやすくなります。
全部を一つの事務所に任せる形と、部分ごとに分ける形があります。前者は楽で、後者は費用を抑えやすくなります。
出典(一次情報)日本司法書士会連合会「日本司法書士会連合会」2026年9月15日確認
頼むと決めたら

司法書士に頼むと決めたら、こちらで用意することがあります。
まず、会社の基本的な事項です。商号、事業目的、本店の住所、資本金の額、役員になる人。
これらは自分で決めることです。司法書士が決めてくれるものではありません。
事業目的については、許認可が絡むなら所管の官庁に文言を確かめておいてください。
次に、印鑑です。会社の実印を作っておきます。払込証明書と印鑑届書に押します。
そして、個人の印鑑証明書です。発起人と役員になる人の分が要ります。
何通要るかは、会社の形と機関の設計で変わります。頼んだ司法書士に聞けば、必要な数を教えてもらえます。
資本金の払込も、自分でやることになります。発起人の個人口座に振り込みます。
こうした準備を進めながら、司法書士が定款と登記の書類を作ります。
会社設立の登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑カードを受け取ります。
そのあとの税務署や年金事務所への届出は、別に進めることになります。
法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、社会保険は5日以内という期限があります。会社設立の登記が終わったら、すぐに動くことになります。
頼んでも、自分でやることはそれなりに残ります。全部を任せられるわけではありません。
そこを理解しておくと、会社設立の段取りが立てやすくなります。
任せられるのは、定款の作成と登記の申請までです。事業の中身に関わる判断は、どこまでも自分で決めることになります。
出典(解説)ベンチャーサポート「会社設立を司法書士に依頼すべき人・自分で進めてよい人」2026年9月15日確認
まとめ

会社設立の費用は、実費と報酬に分けて見ると分かりやすくなります。
- 実費は誰が頼んでも同じ。登録免許税、定款認証の手数料、収入印紙など。
- 登録免許税は株式会社15万円、合同会社6万円が下限。
- 定款認証の手数料は資本金の額等で3万円・4万円・5万円。一定の要件を満たすと1万5,000円。
- 紙の定款には4万円の収入印紙。電子定款なら不要。
- 報酬は各司法書士が自由に定める。公的に決まった相場はない。
- 見積もりは、実費と報酬が分かれているか、範囲はどこまでかを見る。
- 登記の申請を代理できるのは司法書士。定款の作成は行政書士も扱う。
ここに書いた実費の金額は、国税庁と日本公証人連合会の資料にもとづく2026年9月15日時点のものです。報酬は各事務所が定めるもので、依頼者との合意によって決まります。会社設立の前に、複数の事務所から見積もりを取って確かめてください。
出典(解説)マネーフォワード クラウド会社設立「合同会社や株式会社設立を司法書士に依頼する費用」2026年9月15日確認
見積もりは、範囲をそろえてから比べてください
同じ「会社設立一式」でも、電子定款が含まれるか、登記事項証明書が何通付くか、会社設立のあとの届出まで見てくれるかで中身が違います。金額だけを並べても意味がありません。範囲をそろえてから比べてください。
自分でやる場合の手順については、会社設立の登記を自分でやる記事があります。読んでみて、できそうかどうかで判断するのも一つの方法です。
登記のあとに待っている、税務・社会保険まで任せられる所
会社設立の登記が終わっても、税務署への届出や社会保険の手続きは残ります。定款の内容によって決算期も変わるので、登記と合わせて相談先を決めておくと迷いません。※弊社調べになります。
この記事は、会社設立の登記と定款の疑問を解くのに役に立ちましたか。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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