会社設立に印鑑証明書は何通いるか|誰の分が、どこに、いくつ必要か
会社設立の登記に添える印鑑証明書は、誰のものを何通必要とするのかを整理します。定款認証でも使うので、まとめて取る枚数の考え方も扱います。
会社設立の準備で印鑑証明書を取りに行こうとして、何通取ればいいのかが分からなくなった人に向けた記事です。記事によって書いてある枚数が違って混乱している、という人が対象です。株式会社と合同会社の両方を、人数のパターン別に並べます。
会社設立で印鑑証明書が何通必要かは、会社の種類と、発起人と役員が誰かで決まります。同じ人でも、出す先が二か所あれば2通必要です。ここを取り違えると、取りに行く手間が増えるか、足りなくて日を改めることになります。
印鑑証明書を出す先は二か所

会社設立で個人の印鑑証明書を出す場面は、株式会社なら二か所あります。公証役場での定款認証のときと、法務局での登記の申請のときです。
どちらも原本を提出します。コピーでは足りませんし、一度出したものを返してもらって別の場所に出すこともできません。だから、同じ人の分でも出す先の数だけ必要になります。
ここが誤解されやすいところです。「私は発起人でもあり取締役でもあるから1通でいい」と思っていると、公証役場か法務局のどちらかで足りなくなります。
合同会社の場合は、定款認証がありません。だから印鑑証明書を出すのは法務局での登記の申請のときだけです。そのぶん枚数が減ります。
誰の分が必要かも、場面によって変わります。定款認証では発起人全員分、登記では設立時取締役全員分。機関設計によっては、登記のほうが代表取締役の分だけで足りることもあります。
印鑑証明書には有効期限があります。多くの場面で作成後3か月以内のものが求められます。会社設立の準備が長引くと、認証のときに取ったものが登記のときには期限切れ、ということが起こります。
取るのは市区町村の窓口か、マイナンバーカードがあればコンビニ交付です。手数料は市区町村によって違いますが、数百円です。コンビニ交付のほうが安い市区町村もあります。
印鑑登録をしていない人は、まず登録から始めます。市区町村の窓口で手続きをして、登録証をもらってから証明書を取ります。会社設立の準備で見落とされがちなところです。
印鑑証明書のほかに、本人確認証明書というものが出てくることがあります。住民票の写しや運転免許証のコピーなど、その人が実在することを示す書類です。印鑑証明書を添えない役員がいる場合に求められます。会社設立の機関設計によって要否が変わるので、法務局の記載例で確かめてください。
会社の印鑑証明書は、これとは別のものです。登記が完了して印鑑カードをもらってから取ります。会社設立の登記の段階では出てきません。
出典(解説)マネーフォワード クラウド会社設立「会社設立時における印鑑証明書の発行方法や登記申請に必要な枚数」2026年9月15日確認
株式会社の場合、人数別に数える

株式会社の会社設立で必要な印鑑証明書の枚数を、人数のパターン別に数えてみます。取締役会を置かない発起設立を前提にしています。

いちばん多いのが、一人で会社設立をするパターンです。自分が発起人で、そのまま取締役になる。この場合でも、定款認証で1通、登記で1通の計2通が必要です。
発起人と取締役が別の人の場合は、それぞれの分が要ります。発起人が出資して、別の人が取締役になる、という形です。会社設立の場面ではあまり多くありませんが、ありえます。
取締役会を置く会社では、登記に添えるのが設立時代表取締役の分だけになることがあります。そのぶん枚数は減りますが、他の取締役については本人確認証明書が要ることがあります。
本人確認証明書というのは、住民票の写しや運転免許証のコピーなどです。印鑑証明書を添えない役員がいる場合に求められます。会社設立の機関設計によって変わるので、記載例を確かめてください。
監査役を置く場合も、印鑑証明書ではなく本人確認証明書で足りることが多くあります。ただし取り扱いは法務局によって違うことがあるので、確かめてください。
現物出資がある場合も、書類が増えます。出資する財産の内容によっては調査報告書が要ります。印鑑証明書の枚数そのものは変わりませんが、会社設立の登記としては重くなるので、急いでいるなら現金で出資するほうが簡単です。
募集設立の場合は、これに加えて創立総会の関係で書類が増えます。会社設立を自分で進めるなら発起設立にするほうが現実的です。
出典(解説)freee「会社設立時に必要な印鑑証明書の発行方法とは?」2026年9月15日確認
合同会社の場合

合同会社の会社設立では、定款の認証がありません。だから印鑑証明書を出すのは、法務局での登記の申請のときだけです。
必要なのは代表社員の印鑑証明書です。1通で足りることが多くあります。株式会社と比べると、かなり軽くなります。
代表社員が複数いる場合は、それぞれの分が要ります。一人で会社設立をするなら1通です。
代表社員を社員の互選で決めた場合は、互選書に社員全員が個人の実印を押します。その場合、押した印が実印であることを示すために印鑑証明書を添えることがあります。法務局によって扱いが違うので確かめてください。
定款で代表社員を直接定めているなら、互選書そのものが要りません。そのぶん印鑑証明書も減ります。会社設立の手間を減らしたいなら、定款で定めておくのが効きます。
業務執行社員については、印鑑証明書は原則として要りません。登記されるのは氏名だけで、住所は登記されないからです。
紙で定款を作る場合は、社員全員が署名または記名押印します。個人の実印を押すことになりますが、定款そのものに印鑑証明書を添える必要はありません。認証がないためです。
印鑑届書にも印鑑証明書を添えます。登記の添付書類として出すものとは別に、もう1通要ることがあります。会社設立の登記で確かめておきたいところです。
社員が法人の場合は、印鑑証明書ではなく、その法人の登記事項証明書と印鑑証明書が要ります。会社設立の段階で法人が社員に入るケースはそれほど多くありませんが、該当するなら記載例を確かめてください。
合同会社は、印鑑証明書の枚数という点でも株式会社より軽く済みます。取りに行く回数も減るので、自分で会社設立を進めるなら負担が小さくなります。
出典(解説)弥生「合同会社設立の流れは?」2026年9月15日確認
取り方と手数料

個人の印鑑証明書は、住民登録をしている市区町村で取ります。会社設立の準備で何度も取りに行くことになるので、取り方を知っておくと楽になります。
窓口で取る場合は、印鑑登録証(印鑑カード)を持って行きます。本人以外でも、カードがあれば取れる市区町村が多くあります。
コンビニ交付を使う場合は、マイナンバーカードが要ります。多くの市区町村が対応していて、朝早くから夜遅くまで使えます。会社設立の準備を平日の日中に進められない人には便利です。
手数料は市区町村によって違いますが、数百円です。コンビニ交付のほうが安い市区町村もあります。何通も取るなら、その差が効いてきます。
自動交付機を置いている市区町村もあります。専用のカードで取れる仕組みですが、コンビニ交付の普及にあわせて廃止されているところもあります。
印鑑登録をしていない人は、まず登録から始めます。登録する印鑑と本人確認書類を持って窓口に行きます。その場で登録できることもあれば、照会書が郵送されて後日になることもあります。
会社設立を急いでいる場合、この登録の日数が読めないことがあります。印鑑登録をしているかどうかを、準備の最初に確かめておいてください。
登録する印鑑にも決まりがあります。大きさの上限と下限があり、ゴム印など変形しやすいものは登録できません。市区町村によって細かい要件が違います。
海外に住んでいる人が発起人や取締役になる場合は、印鑑証明書が取れません。その場合は、居住している国の公的機関が発行するサイン証明書などを使います。会社設立の手続きとしては特殊なので、司法書士に相談するほうが確実です。
会社設立で使う印鑑証明書は、あくまで個人のものです。会社の実印を法務局に届け出るのは別の手続きで、印鑑届書を使います。
出典(解説)HEARTLAND「会社を設立する時の印鑑証明書について取得方法まとめ」2026年9月15日確認
有効期限とタイミング

印鑑証明書には有効期限があります。法律で決まっているわけではありませんが、多くの場面で作成後3か月以内のものが求められます。
株式会社の会社設立では、定款認証と登記の二回使います。この二つが3か月以内に収まるなら、まとめて取っておけば足ります。
実務では、定款の作成から登記の申請までを2週間ほどに収めるのが一般的です。その場合、一度にまとめて取って問題ありません。
問題になるのは、会社設立の準備が長引く場合です。創業支援の証明書を待つ、許認可の相談に時間がかかる、公証役場の予約が取れない。そういうときは、取るタイミングを後ろに寄せてください。
期限が切れてしまったら、取り直すだけです。手数料はかかりますが、大きな問題ではありません。ただし取りに行く手間と日数が加わるので、直前に気づくと間に合わないことがあります。
会社設立の日を狙っている場合は、とくに気をつけてください。申請日の直前に期限切れが分かると、その日には出せなくなります。
順番としては、定款の内容が固まってから印鑑証明書を取る、というのが安全です。定款が固まっていれば、認証も登記もそう遠くない時期に済みます。
迷ったら、多めに取っておくという手もあります。手数料は1通あたり数百円なので、取り直しに行く手間を考えれば安いものです。
公証役場によっては、定款認証のときに印鑑証明書の期限をもっと短く見ることがあります。逆に、登記のほうは3か月で足りるのが普通です。会社設立の日程が決まっているなら、公証役場に先に確かめておくと安心です。
ただし、あまり早く取りすぎると期限切れのリスクが上がります。会社設立の日程が見えてから取るのがいちばんです。
出典(解説)BIZARQ会計事務所「会社設立時に必要な印鑑証明書の発行方法は?必要通数は?」2026年9月15日確認
会社の印鑑証明書は別もの

会社設立の手続きでは、もう一つ印鑑証明書が出てきます。会社の印鑑証明書です。これは個人のものとはまったく別で、登記が完了してから取ります。
会社の実印を法務局に届け出ておくと、その印について証明書を出してもらえます。届け出るのは印鑑届書で、会社設立の登記と同時に出すのが普通です。
証明書を取るには、印鑑カードが要ります。登記が完了したあとに印鑑カード交付申請書を法務局に出すと、カードをもらえます。費用はかかりません。
カードは、その場で発行してもらえることが多くあります。会社設立の登記が完了したら、登記事項証明書を取りに行くついでに申請するのが効率的です。
会社の印鑑証明書の手数料は、書面請求で1通500円です。オンライン請求なら郵送450円、窓口受取420円になります。
使う場面は、銀行口座の開設、不動産の契約、許認可の申請、補助金の申請などです。会社設立の直後は2通から3通は使うことになります。
印鑑カードをなくすと、再発行の手続きが要ります。会社の実印と一緒に、なくさないところに保管してください。
オンラインで会社の印鑑証明書を請求することもできます。登記・供託オンライン申請システムを使う形で、手数料が安くなります。
会社の実印を届け出るかどうかは、オンラインで申請する場合には任意になりました。ただし、届け出ておかないと会社の印鑑証明書が取れません。銀行口座の開設などで求められることが多いので、会社設立の登記と同時に届け出ておくのが実務的です。
個人の印鑑証明書と会社の印鑑証明書は、使う場面がはっきり分かれています。会社設立の登記までは個人のもの、登記のあとは会社のものと覚えておいてください。
出典(解説)松尾会計事務所「会社設立後に法務局で行う印鑑カードや各証明書の取得方法」2026年9月15日確認
まとめて取るときの数え方

会社設立の準備で印鑑証明書を取りに行く前に、必要な数を紙に書き出してください。頭の中だけで数えると、必ずどこかが抜けます。

数え方は単純です。定款認証で要る人数と、登記で要る人数を足すだけです。同じ人が両方に出てきても、通数としては別に数えます。
そこに印鑑届書の分を足すかどうかは、法務局によって変わります。会社設立の登記を出す予定の法務局に、事前に確かめておくと確実です。
家族に代わりに取ってきてもらう場合は、印鑑登録証を渡します。委任状が要る市区町村もあるので、確かめてください。
複数人で会社設立をする場合は、それぞれが自分の分を取ることになります。遠方にいる人がいるなら、郵送でやり取りする日数も見込んでください。
原本還付という手続きもあります。コピーに「原本と相違ない」旨を書いて記名押印し、原本と一緒に出すと、原本を返してもらえる仕組みです。ただし会社設立の登記で印鑑証明書に使えるかどうかは法務局によって扱いが違うので、事前に確かめてください。
会社設立の登記に添えた印鑑証明書は返してもらえません。手元に残したいなら、先にコピーを取っておいてください。
出典(解説)工藤会計「印鑑届出書」2026年9月15日確認
まとめ

会社設立で必要な個人の印鑑証明書は、人数と出す先の数で決まります。株式会社なら定款認証と登記の二か所、合同会社なら登記だけです。
- 同じ人でも、出す先が二か所なら2通必要。兼ねることはできない。
- 株式会社を一人で作る場合、定款認証で1通、登記で1通の計2通。
- 合同会社は定款認証がないので、代表社員の分1通で足りることが多い。
- 有効期限は作成後3か月以内が一般的。準備が長引くなら取るのを後ろに寄せる。
- 印鑑登録をしていないなら、まず登録から。日数がかかることがある。
- 取るのは市区町村の窓口かコンビニ交付。手数料は数百円。
- 会社の印鑑証明書は別もの。登記が完了して印鑑カードをもらってから取る。
ここに書いた扱いは2026年9月15日時点のものです。必要な範囲は機関設計によって変わりますし、法務局や公証役場の運用も違うことがあります。会社設立の登記を出す前に、実際に使う公証役場と法務局に確かめてください。会社の印鑑証明書の手数料は法務省のページで確かめられます。
出典(解説)司法書士24「株式会社設立登記 必要書類 印鑑証明書」2026年9月15日確認
取りに行く前に、数を書き出してください
印鑑証明書は、足りないと日を改めることになります。逆に取りすぎても期限が切れるだけです。会社設立の準備を始めたら、誰の分をどこに何通出すのかを紙に書き出してから窓口に行ってください。
添付書類の全体像をまだつかめていないなら、必要書類の一覧を扱った記事に進んでください。印鑑届書や印鑑カードについては、それを扱った記事もあります。
登記のあとに待っている、税務・社会保険まで任せられる所
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